わっふるぶろぐ

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コンコルド効果

1960年代前半、各国が超音速旅客機開発競争にしのぎを削る中、イギリスとフランスは営業上の競合を避ける目的で、共同プロジェクト「超音速旅客機コンコルドの開発」を発足した。開発当初は世界各国の航空会社から100機を超える注文が舞い込んできた。しかし、コンコルドは通常よりも長い滑走距離を必要とし、雷鳴に近い音圧の騒音や燃費の悪さから、発注のキャンセルが相次いだ。このとき、両国は既に巨額の資金を投じており、量産型の開発を進めていた。両国とも、「コンコルドは採算がとれない」という事実に早期から気づいていたが、驚くことに、開発は中止されなかった。なぜだろう。それは、それまでの投資を惜しんだからだ。ここでやめたら今までの投資がすべて無駄になる。結果、コンコルドは採算ラインを大幅に下回る計20機しか生産されず、巨額の損失を生み出し、2003年をもって商用運航を停止した。

人は、これ以上のお金や時間の投資が損失につながるとわかっていても、それまでの投資を惜しみ、投資をやめられない。このような状態をコンコルドの商業的失敗から、コンコルド効果」という。おそらく、あなたにもコンコルド効果の影響を受けた経験があるはずだ。

莫大な課金をしたソーシャルゲームを、面白くもないのに未だにやめられない。クレーンゲームは、すでに景品の相場を超えていても投資を続けてしまう。そして、不倫をしていた婚約者ときっぱり別れられない。これらは、合理的に考えれば今すぐにでも諦める(やめる)べきである。

「諦めるのは簡単である。諦めるな。」という言葉をよく聞く。たしかに、努力して続けるべきこともあるだろう。しかし、現実は諦めることの方が難しい場面もある。そのことに気づいていなければ、とても愚かな勘違いをする可能性がある

私が浪人生だった頃、5浪生を名乗る男を見たことがある。彼はその年の受験も失敗し、当然のように6浪生になることを決めた。理由は、「ここで諦めていては、私の名が廃る。」というものだ。彼は、「諦めない状態」を「自分が努力している状態」と勘違いしてしまっていた。今思えば、彼はまさにコンコルドそのものではないだろうか。

では、コンコルドの二の舞にならないためには、どうすればいいか。あなたが何かを諦めたくない(やめたくない)と思ったとき、以下のことを検討するといい。

  • これまでの投資を考慮した結果である場合、それは間違いなくコンコルド効果のワナにはまっている。この場合、あなたはそれを今すぐにでもやめるべきだ。
  • 現在の状況と将来の利益を考慮した結果である場合、それがアルコールやタバコなどの依存性があるものでない限り、あなたはそれを是が非でも続けるべきだ。

コンコルド効果が起こる原因はなんだろう。それは、認知的不協和だ。利益を見込み、投資したという認知と、それが無駄になるという認知は、自らの過ちを認めることになる。それを避けるため、無駄であったことを認めず、諦めることができない。完璧主義はよい人生の大敵だ。苦労して費やしたものが良いものとは限らない。私たちは、それを認めなければならない。