「神よ、変えられないものを受け入れる静穏さを、変えるべきものを変える勇気を、そして、変えられないものと変えるべきものを見分ける賢さを与えてください。」
これはアメリカの神学者、ラインホルド・ニーバーによる祈りの言葉である。「ニーバーの祈り」は神への乞いであると同時に、人が生涯にわたり追求すべき目標でもある。しかし、言うは易く行うは難し。ここでは、私が実践してきた(している)三つを紹介する。
1.変えられないものを受け入れる
この世界の不公正さ、過去の過ち、他人の意見、あなたの容姿。まずは、それが変えられないものであることをはっきりと認知する。そして、平静な心(アタラクシア)を求める過程で、変えられないものを受け入れられる余裕が出てくる。それが変えられないものであると気づいたなら、ニーバーの祈りを思い出そう。以前にも、言っても聞かない愚か者を受け入れる大切さを紹介した。
2.変えるべきものを変える
変えるべきものというのは、あなたも本当は知っているはずである。依存症、怠惰、ネガティブ思考、先延ばし、注意散漫、食生活。これらを改善するのは確かに難しいが、必ず変えることができる。そのためには、あなた一人で悩む必要はない。自分ではそれを抑制できないことを認め、他人の助けを借りて、過去の過ちを見直そう。たとえば、アルコール依存症から抜け出せないなら、医師と相談すればいい。特に我々日本人は、悩みを一人で抱えてしまう。他人に助けを求めることは恥ではない。そして、なるべく、「思考」ではなく「行動」を変えよう。
3.変えられないものと変えるべきものを見分ける
残念ながら、これらを手っ取り早く見分ける方法はない。さまざまな経験を積んでいく必要がある。しかし、あなたに見分ける自信がなければ、変わってほしいと思うものは変えられず、どうせ変えられないと思うものは変えるべきものであると考えていい。